Fertility Treatment

一般不妊治療

STEP1タイミング療法

不妊治療の最初のステップとして行われるタイミング療法です。
まずは、タイミング療法がどんなものかをご説明します。

排卵日を正確に予測して妊娠の確率を高めます。

不妊検査を済ませ、とくに問題がなければタイミング療法を実践します。
妊娠を望まれるカップルが自己流でタイミングを取る場合、基礎体温表やおりもののようすなどを参考にしていきます。しかし、それだけで排卵のタイミングを特定するということは意外と困難で、月経不順などがあるとなおさらです。タイミング療法では、排卵日を特定することで、精子と卵子が出会う確率を高めて、妊娠をサポートして行きます。
排卵日特定のために、超音波診断装置で卵胞の大きさや子宮内膜の厚さをチェックしたり、血液検査を行ったりします。そして、医師からのベストという日の指導を受け、その日に夫婦生活のタイミングを取ります。男女ともに問題がなければ、正確にタイミングを取るだけで妊娠率は向上します。排卵を確実に起こさせるために注射を使用する場合もあります。
自宅で排卵検査薬を使用してタイミングをはかる方法も効果的ではありますが、病院で診察を受けた方がより正確で確実なタイミングを知ることができます。

漢方薬や排卵誘発剤を使用して環境を改善します。

漢方薬には不妊治療で使われるものがいくつかあります。ホルモンの流れを良くし、子宮や卵巣の血液の流れを良くすることで妊娠をサポートします。排卵された卵子が子宮に着床する手助けをしてくれます。
卵胞(卵子が入っている袋)が育ちにくい、排卵が起きにくい場合や無排卵の方は排卵誘発剤を用いて効率よく卵胞発育を促します。また、排卵期や排卵後の子宮内の環境を良くするために用いたりもします。妊娠率を上げるために排卵障害の方だけでなく、正常排卵周期を有している方にも排卵誘発剤の種類を選び用いる場合があります。
排卵誘発剤には内服薬(シクロフェニル・クエン酸クロミフェン)と注射薬(HMG製剤、pFSH製剤、rcFSH製剤)があり、患者さまの状態により使い分けをします。一般的に作用の緩やかな飲み薬からスタートし、効果がみられない場合には作用の強い注射薬を使用します。内服薬と注射薬の併用をする場合もあります。ご自宅などで注射できるペン型製剤も発売されています。
排卵誘発剤特有の副作用
卵巣過剰刺激症候群 (内服薬 < 注射薬)
多胎妊娠 (内服薬 < 注射薬)
子宮頸管粘液の減少や子宮内膜菲薄化(クエン酸クロミフェンによる)

5周期以内に妊娠する確率が高い…、妊娠する確率と治療期間の目安。

タイミング法で排卵日を考え夫婦生活を行うというだけなので、妊娠へ至る過程は自然妊娠とまったく同じです。心身共に健康な男女が自ら判断し、排卵日付近にタイミングを取った場合の妊娠率は20~25%になります。タイミング法の指導を受けた場合の成功率はそれよりも高くなります。ただし、それでも妊娠に至らないという場合には、人工授精へのステップアップをおすすめします。

タイミング療法に適さないケース

タイミング療法は、不妊検査を行った結果とくに問題がなければ、ファーストステップとして取り組むべき治療法ですが、中にはこれがご夫婦に適していないというケースもあります。

妻(女性)側夫(男性)側
通常量の排卵誘発剤を使用しても排卵が起こらない。精子の数が少ない。
頸管粘液不全・フーナーテスト不良。精子の運動率が悪い。
卵管に癒着や閉塞がみられる。射精障害や勃起障害(ED)などで、性行為自体が難しい。
通常治療の妨げになる子宮筋腫や子宮内膜症がある。逆行性射精の場合。
これらの項目に該当する場合は、それぞれの不妊原因の治療を行うか人工授精や体外受精に移行します。男性不妊の場合は、女性の年齢も考え、ステップアップをすすめられるケースが多いです。

STEP2人工授精法

子宮頸管粘液が少ない方、フーナーテストに問題のあった方、通常の治療で妊娠に至らない方、精液所見が不良の方を対象に、排卵のタイミングに合わせて、培養液で遠心分離した良好な運動精子を集め子宮内に注入します。女性の卵管がきちんと通っていることが条件です。

人工授精法の流れ

人工授精法は排卵誘発剤と組み合わせることで治療効果が上がります。

①排卵日の予測予測する方法はタイミング療法と同じです。
必要な方には排卵誘発剤を使用し卵子を育てます。
②精液の採取妻の排卵日に合わせてご主人に精液を採ってもらいます。
当院で採取するか、ご自宅で採取し持参いただくか(採取後3時間以内)のどちらかを選んでいただきます。
③元気な精子を選ぶ精子はそのまま注入するのではなく、密度勾配法と呼ばれる方法で洗浄し、濃縮します。これは雑菌を取り除き、元気な精子だけを確保する方法です。
④子宮内に精子を入れる専用のカテーテルを用いて精子を子宮内に注入します。
⑤妊娠の判定
〈AIHとAID〉
人工授精には夫の精子を使用するAIHと、提供者の精子を使用するAIDがあり、日本では人工授精といえば夫の精子を使用するAIHを指します。
※人工授精法を希望される場合は、同意書を提出していただきます。同意書の提出がないと実施することはできません。

STEP3高度生殖補助医療(体外受精・顕微授精)

体外受精・胚移植法