不妊治療はいつから始めるべき?受診のタイミングを産婦人科医が解説
「妊娠できないかも」と感じ始めたとき、「でもまだ早いかな」「もう少し様子を見ようかな」と受診をためらう方は多いものです。不妊治療を始めるタイミングは、成功率に直結する重要な選択です。この記事では、産婦人科医の立場から「いつから不妊治療を始めるべきか」について、具体的な目安とともにお伝えします。
この記事でわかること
- 不妊の定義と受診の一般的な目安(避妊なし1年を待たなくていい場合)
- 「早めに受診すべき」6つのサイン
- 受診前に準備しておくと良いこと
- 初回受診で行う検査と治療の流れ
目次
不妊の定義と「1年ルール」とは
日本産科婦人科学会の定義では、「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性生活を続けているのにもかかわらず妊娠が成立しない状態」を不妊といい、その期間は1年が一般的な目安とされています。
ただし「1年待ってから受診」という意味ではありません。特定の条件に当てはまる方は、1年を待たずに受診することを強くおすすめします。
「1年を待たずに」受診すべき6つのサイン
以下の条件に1つでも当てはまる場合は、避妊をやめてから6ヶ月以内(場合によってはすぐ)に受診されることをおすすめします。
- 女性が35歳以上
- 月経不順・無月経・生理が極端に少ない・多い
- 子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣嚢腫の既往または疑いがある
- 過去に骨盤内炎症性疾患(クラミジア感染症など)にかかったことがある
- 男性側に精子に関する問題の可能性がある(おたふくかぜ・停留精巣・手術歴など)
- がん治療(化学療法・放射線)の前に妊娠を希望している
「病院に行くほどでもないかな」という遠慮は不要です。不妊に関する相談は専門外来で丁寧に対応しますので、気になることがあればまず受診してみてください。
年齢別の受診タイミングの目安
〜34歳:まず6ヶ月〜1年様子を見ても良い
35歳未満で特にリスク因子がない場合、まず6ヶ月〜1年は自然妊娠を試みることができます。ただし、基礎体温の記録を始め、排卵のタイミングを意識することは有益です。
「まだ若いから」と油断せず、もし気になることがあれば気軽に相談してください。早めの検査で原因が見つかれば、それだけ早く対処できます。
35〜39歳:避妊をやめてから6ヶ月で受診
35歳を過ぎると、卵子の質・卵巣予備能(卵巣に残っている卵子の量)が徐々に低下し始めます。6ヶ月妊娠しなければ受診するくらいの意識で動くことをおすすめします。
40歳以上:妊娠を希望した時点で受診
40歳以上では、妊娠を希望した時点で受診することをおすすめします。「まだ様子を見よう」という時間が、成功率に直接影響するからです。
当院の40代患者さんの実績(2024年体外受精データ)
40〜42歳の妊娠率は34%、43歳以上でも19%。年齢だけで諦める必要はありません。ただし、一日でも早い受診が、より多くの選択肢をもたらします。
「まず相談だけ」でも大丈夫。お気軽にご連絡ください
受診前に準備しておくと良いこと
初回受診をスムーズに進めるために、以下を準備しておくと役立ちます。
基礎体温の記録
基礎体温の記録は必須ではありません。記録がなくても受診にはまったく問題ありません。ただし、2〜3ヶ月分の記録があると排卵の有無や周期の規則性を把握しやすくなるため、余裕があれば記録しておくと参考になります。スマートフォンのアプリでも簡単に記録できます。
月経に関する情報のメモ
- 最終月経の開始日
- 月経周期(何日おきか)
- 月経期間(何日続くか)
- 経血量・痛みの程度
- 妊娠・出産・流産の経験
パートナーと一緒に受診する
不妊の原因は女性だけでなく、男性因子(精子の問題)が半数近くに関わっています。最初からパートナーと一緒に受診できれば、双方の検査を同時に進められます。ただし、パートナーがあまり乗り気でないこともあります。その場合は、お一人で相談に来ていただいても全然構いません。まずはご自身の状態を知ることから始めましょう。
初回受診の流れ
当院での不妊外来初回受診の流れは以下の通りです。
初回受診の流れ
- 問診・カウンセリング:妊活歴、月経状況、既往歴などを確認
- 超音波検査:卵巣・子宮の状態を確認
- ホルモン検査(月経開始3日目頃が理想):FSH、LH、E2、AMHなど
- 精液検査の案内:男性の精子数・運動率の確認
- 治療方針の説明:検査結果をもとに今後のプランをご説明
「何をされるかわからなくて怖い」という方もご安心ください。初回は検査の説明と相談が中心で、その場で治療を始めることはありません。まずはお話を聞かせてください。
初診の流れを詳しく見るまとめ
- 不妊の一般的な目安は「避妊なし1年」だが、条件によっては6ヶ月以内・すぐに受診を
- 35歳以上・月経不順・子宮内膜症などがある方は早めの受診が重要
- 40歳以上は妊娠を希望した時点で受診。「まず相談」が最善の一手
- 初回受診はカウンセリングと検査が中心。治療はその後に相談して決める
- 夫婦で一緒に受診することで、原因の早期特定・方針決定がスムーズに
「不妊かもしれない」という不安を一人で抱えないでください。当院では初回から医師・スタッフが丁寧に対応します。
当院ルイかのう院 森院長の言葉
「私自身、高齢での妊娠を経験しました。だからこそ、年齢を理由に諦めないでほしい、でも”もう少し様子を見よう”と時間をかけすぎないでほしい、という両方の気持ちを患者さんにお伝えしています。まず来てください。一緒に考えましょう。」
よくあるご質問
不妊治療はいつから始めるべきですか?
一般的な目安は「避妊なし1年で妊娠しない場合」ですが、35歳以上・月経不順・子宮内膜症の既往がある方は6ヶ月以内に、40歳以上は妊娠を希望した時点で受診することをおすすめします。「まだ早いかな」と思っても、相談するだけでも大丈夫です。
妊活を始めてどのくらいで病院に行くべきですか?
年齢によって異なります。34歳以下でリスク因子がなければ6ヶ月〜1年が目安です。35〜39歳なら6ヶ月、40歳以上なら妊娠を希望した時点でご相談ください。「病院に行くほどでもない」という遠慮は不要です。早めの検査が将来の選択肢を広げます。
不妊治療の初診では何をするのですか?
初回は問診・カウンセリング・超音波検査・ホルモン検査(月経開始3日目頃が理想)が中心です。精液検査の案内も行います。その場ですぐ治療を始めることはなく、まず現状を確認してから治療方針を一緒に相談します。
不妊治療は夫婦で一緒に受診しないといけませんか?
お一人での受診でまったく問題ありません。パートナーが乗り気でない場合も、まずはお一人で気軽にご相談ください。不妊の原因は男性因子が約半数に関わるため、可能であれば早い段階でパートナーにも受診していただくとスムーズですが、タイミングはご夫婦のペースで大丈夫です。
不妊治療にかかる費用は?保険は使えますか?
2022年4月より、タイミング療法・人工授精・体外受精・顕微授精が保険適用となりました(年齢・回数の条件あり)。保険適用で自己負担3割になります。また、岐阜市などの自治体による不妊治療助成金制度も利用可能です。詳しくは受診時にご説明します。
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