体外受精の成功率は?年齢別データと当院の実績を産婦人科専門医が解説

体外受精を検討されている方にとって、「成功率はどのくらいなのか」は気になるポイントです。体外受精の成功率は年齢によって大きく変わりますが、治療技術の向上により、近年は全国的に成功率が上昇傾向にあります。この記事では、日本産科婦人科学会の全国データに加え、当院の2024年・2025年の実際の治療実績を公開し、成功率を高めるために大切なことをお伝えします。

この記事でわかること

  • 全国の体外受精の成功率と年齢別の推移
  • 当院2025年の実績:臨床妊娠率51.7%(全年齢平均)
  • 年齢別の妊娠率データ(20代59.0% / 30代55.6% / 40〜42歳37.5%)
  • 成功率を左右する5つの要因
  • 当院が取り組む成功率向上のための技術

目次

全国の体外受精成功率

日本産科婦人科学会の報告によると、全国の体外受精(新鮮胚・凍結融解胚を含む)の移植あたりの妊娠率は全年齢平均で約30〜35%程度とされています。ただしこの数値にはさまざまな年齢層・施設の結果が含まれているため、個々の施設や年齢層によって大きく異なります。

特に凍結融解胚移植に限れば、妊娠率は約35〜40%とやや高くなる傾向があります。これは、凍結融解胚移植では子宮内膜の状態が最適なタイミングで移植できるためです。

年齢別の成功率推移

体外受精の成功率に影響する要因のなかで、もっとも大きいのが女性の年齢です。一般的な傾向として、30歳前後をピークに成功率は徐々に下がり、38歳を過ぎると低下が顕著になります。以下は年齢ごとの目安です。

年齢 妊娠率の目安(移植あたり) 特徴
30歳以下 40〜50% 卵子の質が高く、成功率がもっとも高い年代
31〜35歳 35〜45% 30歳前後と同程度の良好な成功率を維持
36〜38歳 30〜40% 徐々に低下が始まるが、十分な成功が見込める
39〜40歳 25〜35% 低下が明確になる時期。早めの治療開始が鍵
41〜42歳 15〜25% 卵子の質の低下が顕著に。個人差が大きい
43歳以上 10〜15% 成功率は低くなるが、妊娠の可能性はある

当院の治療実績データ

操レディスホスピタルでは、毎年の治療実績を公開しています。2024年・2025年の実績データをご紹介します。

51.7% 臨床妊娠率
(2025年・全年齢)
572 採卵数
(2025年)
518 胚移植数
(2025年)
268 妊娠数
(2025年)

2025年 年齢別 臨床妊娠率

年齢層 移植件数 臨床妊娠率
20〜29歳 61件 59.0%
30〜39歳 365件 55.6%
40〜42歳 64件 37.5%
43歳以上 28件 17.9%

※臨床妊娠率=子宮内に胎嚢を確認できた割合。当院の全年齢平均51.7%は、全国平均を上回る水準です。

2024年との比較

項目 2024年 2025年 変化
採卵数 533件 572件 +39件
移植数 523件 518件 -5件
妊娠件数 244件 268件 +24件
臨床妊娠率 46.0% 51.7% +5.7pt

2024年から2025年にかけて、臨床妊娠率が46.0%から51.7%へと5.7ポイント向上しました。採卵数も増加しており、治療技術の継続的な改善と培養環境の最適化の成果が表れています。

まずは、ご自身の状態を知ることから

当院では初診でAMH検査や基礎的な検査を行い、お一人おひとりに合った治療プランをご提案します。

成功率を左右する要因

体外受精の成功率は年齢だけで決まるものではありません。以下の要因が複合的に影響します。

1. 卵巣予備能(AMH値)

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている卵子の数の目安を示す検査値です。AMH値が低い場合は卵巣の反応が弱く、採卵できる卵子の数が少なくなることがあります。ただし、AMH値は「量」の指標であり「質」の指標ではないため、AMH値が低くても良質な卵子が採れるケースもあります。

2. 精子の質

受精には精子の質も重要です。精子の運動率や形態異常の有無が受精率に影響します。当院ではIMSI(高倍率顕微鏡による精子選別)やPICSI(成熟精子選別)などの先進技術を用いて、より質の高い精子を選別しています。

3. 子宮内膜の状態

胚が着床するためには、子宮内膜の厚さや状態が適切であることが必要です。内膜が薄い場合や、子宮内膜炎がある場合は着床率に影響します。ERA検査(着床の窓の検査)やEMMA/ALICE検査(子宮内の細菌環境検査)で、最適な移植環境を整えることができます。

4. 胚の質(グレード)

培養した胚の形態学的な評価(グレード)も成功率に大きく影響します。グレードの高い胚盤胞ほど着床率が高い傾向にあります。当院ではタイムラプスインキュベーターで胚の発育を24時間連続観察し、最適な胚を選んで移植しています。

5. 生活習慣

喫煙、過度な飲酒、肥満、強いストレスは卵子・精子の質に影響するとされています。治療中は規則正しい生活リズム、バランスの良い食事、適度な運動を心がけることが大切です。

成功率を高めるための当院の取り組み

操レディスホスピタルでは、成功率を高めるためにさまざまな技術と環境整備に取り組んでいます。

1

タイムラプスインキュベーター

受精卵の発育を24時間連続で観察し、最適な胚を選択。胚を外に出す必要がないため、培養環境の安定性が保たれます。

2

IMSI・PICSI(精子選別技術)

高倍率顕微鏡やヒアルロン酸を用いて、より質の高い成熟精子を選別。受精率・胚の質の向上に貢献します。

3

PGT-A(着床前遺伝学的検査)

移植前に胚の染色体を調べ、正常な胚を選んで移植する検査です。反復着床不全や流産を繰り返す方に有効です。

4

ERA・EMMA/ALICE検査

最適な移植時期の特定と、子宮内環境の改善により、着床率の向上を目指します。

体外受精は何回で成功するのか

「体外受精は何回で成功しますか?」というご質問を多くいただきます。結論から言えば、個人差が大きいため一概には言えませんが、目安としていくつかの傾向をお伝えできます。

当院の2025年データ(臨床妊娠率51.7%)をもとに計算すると、1回の移植で約半数の方が妊娠に至っています。統計的には、3回の移植で累積妊娠率は約80〜90%に達するとされており、多くの方が3回以内に結果を得られています。

まとめ

体外受精の成功率は年齢を中心にさまざまな要因で変わりますが、当院では2025年度の臨床妊娠率51.7%という全国平均を上回る治療成績を維持しています。2024年の46%からさらに向上しており、培養技術の改善と新しい治療技術の導入が成果につながっています。

数字だけでなく、当院が大切にしているのは、一人ひとりのご夫婦に合った治療をご提案することです。年齢やAMH値、これまでの治療歴、そしてご夫婦のお気持ちを丁寧にうかがったうえで、最善の治療プランを一緒に考えていきます。「成功率が気になって一歩を踏み出せない」という方も、まずは初診でご自身の状態を知ることから始めてみませんか。

よくあるご質問

体外受精の成功率はどのくらいですか?

全国平均は移植あたり約30〜35%ですが、当院の2025年の臨床妊娠率は全年齢平均で51.7%です。年齢によって大きく異なり、30代では55.6%、40〜42歳では37.5%となっています。

体外受精は何回で成功しますか?

個人差がありますが、当院の妊娠率(51.7%)をもとにすると、1回の移植で約半数の方が妊娠に至ります。統計的には3回の移植で累積妊娠率は約80〜90%に達するとされています。

40代でも体外受精で妊娠できますか?

40代でも妊娠の可能性はあります。当院の2025年データでは、40〜42歳の臨床妊娠率は37.5%、43歳以上でも17.9%の方が妊娠されています。年齢を重ねるほど成功率は低下しますが、PGT-Aやタイムラプスなどのテクノロジーを活用して可能性を高める取り組みを行っています。

成功率を上げるために自分でできることはありますか?

禁煙、適度な運動、バランスのよい食事、十分な睡眠、ストレスの軽減が挙げられます。また、葉酸やビタミンDなどのサプリメント摂取も推奨されています。何より大切なのは、治療開始のタイミングです。年齢が若いほど成功率は高いため、迷っている時間がもったいないとも言えます。まずはお気軽にご相談ください。

体外受精と顕微授精では成功率が違いますか?

受精方法の違いで妊娠率に大きな差はありません。体外受精(ふりかけ法)は精子の状態が良好な場合に、顕微授精は精子の数や運動率に問題がある場合に選択されます。当院では精子の状態に合わせて最適な受精方法をご提案しています。

監修

操レディスホスピタル 医師

産婦人科専門医・生殖医療専門医
操レディスホスピタル(岐阜市)

体外受精の成功率は年々向上しています。当院の2025年度の成績では臨床妊娠率51.7%を達成しました。この数字の背景には、一件一件のお二人に真摯に向き合う日々の診療があります。数字だけでなく、お気持ちに寄り添いながら一緒に治療を進めていきましょう。

参考文献・出典

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