排卵誘発とは?|種類・リスク・多胎妊娠について医師が解説

排卵誘発法は、不妊治療において広く用いられる治療法の一つです。この記事では、排卵誘発の仕組みや使用される薬剤の種類、多胎妊娠やOHSS(卵巣過剰刺激症候群)などのリスクとその予防法について、生殖医療専門医が詳しく解説します。
- 排卵誘発の仕組みと目的
- 内服薬と注射薬の違い
- 多胎妊娠のリスクと予防法
- OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の予防と対処
排卵誘発ってなんですか?
排卵誘発法は、特定の薬剤を使用して卵胞(卵子)の発育と排卵を促進する方法です。一般的には排卵に問題がある方だけでなく、妊娠の成功率を高めたいと考えている方にも行われます。
通常、自然の周期では1個の卵胞だけが成熟しますが、排卵誘発剤を使用すると、複数の卵胞が成熟する可能性があります。これは体外受精の際に有用で、成功率を高めるためには欠かせない手段となっています。
排卵誘発の内服薬と注射薬の違いについて
排卵誘発剤には飲み薬と注射の2つのタイプがあります。飲み薬の場合は自分自身のホルモン分泌に頼って卵胞を育てることに対し、注射薬の場合は薬の力によって直接卵巣を刺激して卵胞を育てることになります。
どちらを使うかは不妊症の原因や治療経過をもとに適切に選択する必要があります。
飲み薬: クロミッド、セキソビット、フェマーラなど
注射: ゴナールエフ、フォリルモンP、HMGフジなど
排卵誘発のリスクについて
排卵誘発は基本的には安全な治療法ですが、一定のリスクが伴います。最も一般的な副作用には多胎妊娠と卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があります。
また使用する薬によっては、胃の不調や嘔吐、顔のほてり、乳房の不快感といった薬剤に関連する副作用も出る可能性があります。
排卵誘発で多胎妊娠が増える?
排卵誘発剤を使用することで、妊娠の可能性が高まりますが、双子や三つ子といった多胎妊娠のリスクも上がる点に注意が必要です。
どれくらいの頻度で多胎妊娠は増加するのですか?
自然妊娠での多胎妊娠率は約1%ですが、排卵誘発剤を使用するとその確率はかなり高くなります。特にゴナドトロピンという排卵誘発薬を使った場合、多胎妊娠の確率は約15-20%とされています。
多胎妊娠率の比較
自然妊娠
約1%
ゴナドトロピン使用時
約15-20%
多胎妊娠となったらどうすればいいんでしょうか?
多胎妊娠となった場合、その後の妊娠管理には特に注意が必要となります。妊娠高血圧症候群や切迫早産などお母さんへの負担が増える可能性や、赤ちゃんが早く生まれる(早産)確率が増加することがわかっています。
多くの場合は高次医療機関にてお母さんと赤ちゃん両方の安全を最優先した妊娠・分娩管理を行うことになります。
多胎妊娠を防ぐことは可能ですか?
多胎妊娠を防ぐために排卵誘発剤の使用方法の工夫が大切です。内服薬による排卵誘発では2個以上の卵胞が発育することが少ないため、当院では内服薬を中心に外来治療を進めています。
注射剤が必要な場合には低用量漸増療法を使用して発育卵胞数を抑えることで多胎妊娠を予防しています。
また、排卵誘発に伴う多胎妊娠を防ぐために体外受精を考えることも一つの手段です。この方法では、胚(受精卵)を1つだけ子宮に戻すことで多胎妊娠のリスクをほぼゼロに抑えることができます。
- 内服薬を中心とした外来治療の推進
- 注射剤使用時は低用量漸増療法で発育卵胞数を管理
- 体外受精では単一胚移植により多胎リスクをほぼゼロに
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)について
OHSSは、排卵誘発剤による過度な卵巣刺激によって、卵巣が異常に腫れ、腹水や胸水がたまる状態を指します。多くの場合は軽症で自然に改善しますが、重症化すると入院治療が必要になる場合もあります。
OHSSになるのを予防する方法は?
当院では超音波やホルモン検査を用いて卵胞の発育を細かくモニタリングし、発症が予測される場合には治療を中止(排卵を促すhCGの投与を中止)することでOHSS発症を予防しています。
体外受精胚移植の採卵後にはカバサール(OHSS発症予防薬)を服用し、5~7日後に血液検査と超音波検査を行うことでOHSSの早期診断を心がけています。
- 超音波・ホルモン検査による卵胞発育の細やかなモニタリング
- 発症リスクが高い場合はhCG投与を中止
- 採卵後のカバサール服用によるOHSS予防
- 採卵5~7日後の血液検査・超音波検査による早期診断
どんな人がなりやすいのでしょうか?
年齢が若い方、やせている方、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を持っている方は、OHSSになるリスクが特に高いとされています。
まとめ
排卵誘発剤は一般的には非常に安全な治療法である一方で、リスクを伴うことも知っておかなくてはなりません。そのため治療を受ける方と医師が密にコミュニケーションを取り、治療内容と経過を共有していくことに努めています。
排卵誘発を含む不妊治療について、疑問やご不安がございましたら、お気軽に当院までご相談ください。経験豊富な生殖医療専門医が、お一人おひとりに最適な治療プランをご提案いたします。
当院では24時間365日診療に対応しております。排卵誘発中の体調変化や副作用の症状など、夜間や休日でも体調がすぐれない場合は診察を受けていただけますので、安心して治療に臨んでいただけます。
In Gifu岐阜で受けるなら
操レディスホスピタル(岐阜市)では、本院の生殖医療科と分院のルイかのう院で役割を分けて、不妊の検査・治療を行っています。
- 本院(生殖医療科)
- 不妊のご相談・検査から、タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精まで行っています。子宮卵管造影検査と精液検査は本院で行います。
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- 不妊の初期検査・タイミング法・人工授精に対応しています。体外受精が必要になったときは本院へ引き継ぎます。他院で不妊治療を受けていた方は、本院の受診をお勧めしています。
- 費用
- 保険適用の治療と、保険適用外(先進医療・自費)の治療があります。項目ごとの費用は「不妊治療の費用」でご案内しています。
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関連する診療のご案内
- 日本産科婦人科学会 https://www.jsog.or.jp/
- 厚生労働省「健康・医療」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/
- WHO Reproductive Health https://www.who.int/health-topics/reproductive-health
⚠ 個別判断は医師にご相談ください 本記事は一般的な医学情報の解説であり、特定の症状・状態に対する診断や治療方針を示すものではありません。 ご自身の状況に応じた判断は、必ず医師の診察・指示に基づいて行ってください。 操レディスホスピタルでは、女性の健康・妊娠・出産・子育てに関する診療を行っています。
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