不妊治療

不妊治療の流れ

不妊治療を受けようと思いますが、治療はどのような流れで進むのでしょうか?
まずは不妊の原因を見つけるための検査から始まり、原因が見つかればそれに応じた治療を行います。排卵や妊娠の妨げになるホルモン値が高ければ下げてやり、必要なホルモン値が低ければそれを補います。基礎体温をもとに超音波で排卵のタイミングを正確に予測することから始まり、妊娠に至らなければ内服薬の排卵誘発剤、続いて注射薬の排卵誘発剤を投与し、人工授精、さらには体外受精へとステップを踏んでいくのが一般的な治療の流れです。
同じ治療を繰り返し行ってもなかなか妊娠に至らないため、各ステップは3〜6クールが望ましいと考えられます。ただし、同じ治療パターンでも漢方薬との併用や、薬の種類や投与期間の変更などの工夫をしていきます。
また、不妊の原因や状況によってはスタートから治療のステップを繰り上げたり、さらに早いクールで治療を進めるケースもあります。
不妊治療を受けていてもなかなか妊娠できなくてストレスが溜まってきたのですが…
治療期間が長期に及んだ場合はかなり精神的にも不安定になる患者さんが多くなります。
ストレスはホルモンの乱れに繋がり、治療に良い影響を与えることはありませんので、治療を一旦休止し心身ともにリフレッシュしてから再開するのも悪くありません。
ストレスから逃れたいけど治療を休止するのが不安な方は不妊カウンセラーに綿密なカウンセリングや指導を受けてストレスを出来るだけ取り除くことが重要です。また、自分の病態や現在の治療内容、今後の治療の流れを自分自身で把握しておくことが大切であり、ドクター主導の一方通行の治療ではストレスに感じると思いますし、かえって治療の妨げになるケースが少なくありません。
複数の治療方針を提示してもらい、ドクターや不妊コーディネーターと相談し、その中から最終的には患者さん自身が考えて選択すべきだと思います。
治療手段として人工授精を薦められましたが体外受精とはどう違うのでしょうか?
人工授精は性交によってではなく、採取した精子を人工的に子宮の中に入れる方法です。その際、精子を培養液で洗浄濃縮し、良好な精子を集めて妊娠率を高めます。
タイミングや排卵誘発剤を使った治療でなかなか妊娠に至らない例や、精子が少ない、動きが悪いなどで自然妊娠が困難な例、排卵期のおりものと精子との相性(フーナーテスト)が悪い例などは少なくとも3〜4回は受けてみる価値はあると思います。人工授精を繰り返しても妊娠に至らない例や卵管の通過性が悪い例は体外受精を治療手段として考える必要があります。
人工授精が極めて自然妊娠に近い手段に対して、体外受精は排卵誘発剤などで卵を育て、手術操作により受精可能な卵を体外に取り出し、精子とかけ合わせて培養し、受精させた後、受精卵を子宮内に戻す方法であり、かなり人為的な操作が加わります。
精子の数が少なくて顕微授精を薦められましたが、通常の体外受精とはどう違いますか?
通常の体外受精でも受精のためにはある程度の運動精子数が必要です。
しかし、患者さんの中には体外受精も困難なほど精子数が少ない、極端に精子の運動率が悪い、といった重度の男性不妊症があります。
また、運動精子数が基準を満たしているのに体外受精をしても受精しない症例や受精率の悪い症例もあり、これは何らかの原因で卵の中へ精子が入っていくことが出来ず、結果的に受精できない状況が考えられます。これらの症例は顕微授精の適応となります。
顕微授精は顕微鏡下で精子が1匹だけ通過できる細いガラス管で精子を捕らえ、1つの卵子の中に1匹の精子を直接注入し受精させる方法です。顕微授精は動いていない精子や、無精子症で精巣などから採取した未熟な精子を使用しても受精が可能であり、それ以前は妊娠が不可能であった患者さんでも妊娠できるようになりました。
排卵誘発剤を使うと卵巣が腫れたり双子になると聞いたのですが?
排卵誘発剤を使っても必ずしも多数の卵が発育して卵巣が腫れたり、複数の卵が排卵して双子になるとは限りません。排卵誘発剤を使って卵巣が腫れたり双子になりやすい患者さんはあらかじめ予想がつきます。そういった患者さんに対して排卵誘発剤の種類や注射を打つパターンを変えることにより、卵巣を腫らすことなくなるべく1つだけの排卵にもっていくための工夫はできます。
体外受精の際にも同様の質問がよくあります。
日本産婦人科学会の会告では、双子を防ぐために子宮に戻す受精卵の数は3つまでとされており、 4つ以上戻しても妊娠率は上がらず双子以上が出来る確率は増します。
生殖医療技術が進んだ現在は1〜2個を戻すことで妊娠率が下がることはなく、卵巣が腫れそうなら受精卵を凍結して次の周期に戻せば問題なく、無理な排卵誘発や胚移植をしない限り確率はそれほど高くありません。
結婚して1年近く経ちますが子供がなかなかできません。
病院にかよったほうがいいのでしょうか?
不妊症としての定義上は通常の夫婦生活があって2年経っても妊娠に至らない場合、となっていますが、基礎体温をつけたり市販の排卵日検査薬でタイミングをとっておられる方や、おりものの変化や下腹痛で排卵のタイミングが自分でわかる方がなかなか妊娠に至らないケースにおいてはもっと早く受診した方がいいと思います。
不妊ではないかと不安に思っていらっしゃる方も一人で悩んでいても解決しないため不妊カウンセラーにカウンセリングだけでも受けるのは有意義だと思いますし、また最近増えているケースで、子供が欲しいけどなかなか夫婦生活を持てないセックスレスの状況の夫婦は、カウンセリングの上、子供を得られる方向に持っていくことが必要になってきます。また加齢とともに妊娠しにくくなるため、30代後半の方は早めに受診されるのがよいと思います。
卵管造影はすごく痛いとインターネットに書いてあったのですが、
不妊症の検査はすべてやらなくてはいけませんか?
妊娠は卵巣で成熟した質の良い卵が出来て、排卵して卵管に取り込まれ、さらに卵管の中で受精をして子宮に移動して着床する、という一連の流れでできるわけで、各ポイントひとつでも障害があれば妊娠にさしつかえます。多くの症例で原因は複数認められ、ひとつ原因が見つかっても他に原因があればうまくいきません。そのためスクリーニングとして漏れなく全てのチェックは必要です。
その中でも卵管の検査と精子の検査は検査所見によっては治療レベルが一気に上がるため、後回しにするとそれまでの治療が無駄になります。
確かに「卵管造影はすごく痛いと聞いた」と言われる患者さんが多いですが、あらかじめ卵管の緊張や痛みを取り除き、方法を工夫すればさほど痛みを感じずに検査できます。
卵管造影は必須の検査ですから怖がらずに受けてください。
二人目が欲しくてもなかなか出来ないのですが
診察してもらったほうがいいのでしょうか?
「一人目が簡単にできたからそのうちにまた出来るだろう」と思っているうちに年数が経って不妊外来にかかられる患者さんは珍しくありません。
一人目がさほど時間もかからず自然に出来たのに、不思議に思われるでしょうが、もともと妊娠しにくい方が一人目は偶発的に簡単に妊娠に至った結果であったり、分娩がきっかけで感染などが原因となって卵管の通りが悪くなったり、妊娠・授乳によってホルモンの動態が妊娠前と比較して妊娠しにくくなったりすることが考えられます。
また数年が経てば以前は認められなかった妊娠の妨げになる子宮筋腫や子宮内膜症、子宮内膜ポリープなどができるケースもあります。
中には二人目を妊娠させるため体外受精が必要な患者さんもおられます。
ですから妊娠の既往がある無しにかかわらず、なかなか妊娠出来ない場合は診察の必要があります。

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